2025年9月8日

BirdStarでは、CMAやMBAといった資格、あるいは社会人の学び直し(リカレント教育やリスキリング)が日本でなぜ広がりにくいのかについて考えています。

海外では、大学卒業後も定期的に大学へ戻り、知識やスキルをアップデートすることが一般的ですが、日本ではまだ十分に浸透していません。その背景には、いくつかの要因が考えられます。

  • 賃金や昇進への反映の弱さ
    資格や学位を取得しても、必ずしも給与やキャリアに直結しない。
  • 自己投資のリターンが見えにくい
    高額な費用や長期間の学習が必要でも、企業や社会から十分に評価されない。
  • 長時間労働・時間不足
    勤務後や休日に学ぶ余裕がない。
  • 企業や国の支援の限定性
    企業負担は幹部候補や大企業に限られ、国の制度は条件や使い勝手に課題がある。
  • 文化的背景
    「大学を出れば学びは終わり」「OJTで十分」といった意識が根強い。

こうした状況下で学び直しを続ける人は、趣味として学びを楽しむ方や、起業や転職を志向する方、あるいは「単純に学ぶことが好きな人」に限られてしまうのが現状です。マクロ環境の影響、つまり人口減少・国際競争力の低下が「差別化の意味の希薄化」を招いているとも考えられ、個人が頑張っても市場全体の縮小トレンドを覆すほどには成果を出しづらく、「資格や学位を取る=生活が好転する」という期待が持ちづらい環境となっています。


外部資格が社内でマイナスに働くことも

さらに、日本企業の文化を考えると、外部資格を取得することが短期的には会社にとって「マイナス」と見なされるケースもあります。

  • 勉強のために残業が減る → 部署の負担増。
  • 学んだ知識を元に会社のやり方に異議を唱える → 「管理しづらい存在」とみなされる。
  • 資格取得後に転職・独立を考える → 人材流出リスクと結び付けられる。

結果的に、せっかく資格を取得しても社内で評価されにくい、場合によっては逆風を受けてしまうことさえあります。外部資格を社内評価に組み込む仕組みがそもそもないことも多く、上司や評価者にとって「面倒」と映り、評価に反映されないどころか「余計なことをしている」とマイナスに作用することもあります。


BirdStarの考えるアプローチ

BirdStarが目指すのは、資格そのものを“肩書き”として掲げることではありません。
従来の日本では、「○○士」「○○師」といった資格がその人のアイデンティティに直結し、一つの資格を取ることで「自分を定義する」という発想が強くありました。

しかしこれからの時代は、それだけでは不十分です。
資格や学位は「すべて」ではなく、「自分の興味や活動の一部を外部に示すサイン」にすぎません。
大切なのは、学びや資格を「どう活かし、どんな場面で結び付けるか」です。

BirdStarでは、この考えをもとに以下のようなアプローチを重視します。

モジュール型の学び】
大きな資格取得だけでなく、短期・小型の学びを積み重ねる仕組みを提供します。
一人ひとりが自分のペースで関心のあるテーマを学び、実務や人生にすぐ活かせるようにします。

個人のストーリーを尊重する学び】
「資格を持っているか」よりも、「その学びをどんな文脈で使ったか」に価値を置きます。
例えば「会計を学んで地域活動に応用した」「MBA的な知識を小さな会社の改善に使った」といった形です。

【意思表示としての資格・学び】
資格や学びはゴールではなく、自分が「この領域に関心を持ち、取り組んでいる」という外部へのメッセージになります。
BirdStarは、その意思表示を後押しし、学びを他者と共有しやすくする場を整えていきます。

【活かしやすさを重視
学び直しを「趣味」に終わらせず、日常の実務や人生設計の中で活かせる形に変える。
そのために、成果物やアウトプットを伴う学びをデザインします。


さいごに

日本でのリカレント教育はまだまだ課題が多い分野です。しかし同時に、これからの社会にとって不可欠なテーマでもあります。BirdStarは、「資格を取るための場所」ではなく、「学びを自分の一部として組み込み、それを社会にどう響かせるか」を探求する場所を目指しています。学び直しを「自己満足」で終わらせず、実際に役立つ力へと変える活動を続けていきます。

BirdStar